ファミリアは"効率"よりも"品質"を選ぶことを優先してきました。 なかでも、そのものづくりの精神は「Kライン」と呼ばれる生産ラインに色濃く表現されています。 「Kライン」とはワンピースやドレスを主体にしたファミリアオリジナルの生産ラインのことです。創業当時は坂野惇子と田村光子宅を行き来して商品づくりをしていましたが、 本格的にビジネスが軌道にのると光子の自宅でほとんどつくられ、その後光子宅の敷地に「岡本研究所」を建てることとなりました。「Kライン」はこの研究所の頭文字をとって名づけられました。自宅で刺繍などの作業を行い、研究所に商品を納めるという方法を行っていました。
#10 ものづくりの原点
ファミリアの原点「Kライン」
ファミリアの創業者の4人の女性は当時、丁寧に刺繍し手芸の技を活かしドレスを縫いました。「Kライン」はその意気込みと風合いを残した商品の総称でいわばファミリアの原点です。この「Kライン」で活躍したのが田村光子で生産と品質管理を担当しました。光子は「服は縫う人の心の模様が出る。ゆったりとした気持ちのひとはどこかのんびりした洋服に、やわらかい性格の人は何となくふんわり仕上がり、負けず嫌いな人はキリッとしまりがある。」と言います。Kラインはハレの日にぴったりのお洋服を、細やかな技術と心遣いでゆっくりと丁寧につくっていました。この「Kライン」の想いは現在のファミリアの商品にも受け継がれています。
創業当時、ファミリアの商品ほとんどの図案をつくっていたのが田村江つ子です。 江つ子が図案を書く際に気をつけていたのが、自分の願望を入れずにものの正しい姿を表現することです。 ファッションの仕事というのは、模倣だけでは人の心を掴むことができないと考えていました。 そのために動物園にいってどの位置に目があるのか、大きさはどうかなど確認したといいます。 そんな彼女の思いは現在も引き継がれています。
こだわりが詰まったファミリアの洋服
素材
すべり台や遊具に引っかかりやすいものが洋服に付いていたり、いざというとき足が開かないタイトスカートだったり、着脱のたびに指にひっかかる模様編みの渡り糸があったりでは困ります。子どもの安全は行動を規制するのではなく、大人が細心の注意をはらって守ってあげなければなりません。 あるいは、お気に入りの服がちょっと激しい運動をしただけで破れてしまっては、子ども心に悲しい思いをさせてしまいます。 そんなことがないように、袖付け、脇、股ぐりなどの必要な箇所には2度縫いを行い、ほつれにくさや、美しさを出すための袋縫いなどの手間を惜しみません。丈夫さも着心地に影響するのです。 つねに子どもにとって危険な部分がないか、デザインだけで子ども服をつくっていないか、気を配って縫製しています。
モチーフ
刺繍ワッペン、プリント柄など洋服に付いているモチーフにもこだわっています。モチーフを通じて子どもたちに花や雲、山や木、動物など自然を愛する気持ちを育んで欲しいとの願いを込めています。たとえば音楽会の出番前、ドキドキしている子どもの目に入るクマさんの表情が「がんばれ!」と励ましてくれたり、しかられてうつむくとズボンの犬の刺繍が「だいじょうぶ!いい子だよ」と慰めてくれたり。子どもたちがそんなふうに感じられるような形、表情、色使いをつねに心がけています。
パターン
こだわっているのは、子どもの成長に合わせた立体感と、運動量を考慮した動きを妨げないパターンであることです。 一人ひとり大きくなっていく箇所、大きくなる時期が異なります。ねんね、ハイハイ、タッチ、アンヨ、幼稚園、小学校低学年・高学年。年齢ごとに体の各部のバランスは違っています。ですから、伝統のスタイルも今年らしいデザインも、子どもの成長に合ったパターンがあってこそ快適なのです。
色使い
ファミリアが色使いにおいて心がけていることは、大きく2つあります。 ひとつは、前シーズンの洋服ともコーディネートしやすいことです。 子ども服は同じサイズを何年も着れないことがほとんどですが、少しでも永くご愛用いただきたいと、昨年のトレーナーに今年のパンツを合わせても違和感がないように心がけています。 もうひとつは、子どもの情操面への配慮です。子どもがいろんな人やものに出会い、さまざまな感動、興奮を味わいながら成長します。 そして、個性を上手く引き出すセンスは子どもの頃から養われ、カラーコーディネートはその重要な役割を果たしています。 また、色が人の心理面に影響をもたらすことも広く知られている事実ですので、子どもの情操に悪い影響を与える色を選ばないよう注意をはらっています。